エウレカ徒然備忘録

時事報道への感想を中心に、ときにアニメDVDを使った英語学習法などを徒然書いています

電力業界の怪異

東京電力が20日に発表した2011年3月期の連結決算は、最終損益が1兆2437億円という巨額赤字となりました。その内1兆円強は、福島第1原発事故処理に伴う特別損失であり、具体的には、原子炉冷却や放射性物質飛散防止にかかった費用、廃炉にするための費用及び火力発電所復旧のための費用などが主だったものになります。

このような状況下、不可思議なことに東電を始めとする主要電力各社は、15%の削減を目標にするという政府の方針に従い、今夏の徹底した節電への協力を呼びかけています。つまり、「うちの会社の製品をどうか買わないで下さい」と必死になって頼んで回っているのです。しかも、それがたまたま生産が間に合わない数日から数週間という程度の話ではありません。これは、もはや私企業の企業活動と言えるようなものではないと思います。

さらによくわからないのは、15%節電の根拠です。福島第1原発を始めとして多くの発電所の機能がう失われ、中部電力浜岡原発も停止されるなど、既に電力供給力が相当程度損なわれた状況にあるということは、子供でもわかります。しかし、そういう空気だけで、論理的に根拠も十分説明されないままに、何故15%削減の数字が一人歩きを始め、節電義務が既成事実になってしまうのか、理解に苦しむところです。

国民が一枚岩で進んで節電に協力するためには、少なくとも、

1.例年の電力需要及び昨年の電力需要の数値から推定される今季6月から8月までの電力需要の推定値。

2.それに対して電力の供給力の推定値。

3.推定値から求められた不足量を補うための需要削減量。

4.それを達成するために、企業及び家庭はどのように行動すればよいのか。

せめてこれくらいのことは、各地域別にきめ細かく、かつ分かり易く説明しておいてもらわなければ、協力しようにも協力の仕様がないというものです。また、国民に電力の使用を控えさせて、景気を押し下げようというのは、一体政府の意思なのか、それとも東電の意思なのかも、実はいまだによくわかりません。このままでは、最低限のやるべきことをやろうともしない政府や東電などには、馬鹿馬鹿しくて協力する気にもなりません。