エウレカ徒然備忘録

時事報道への感想を中心に、ときにアニメDVDを使った英語学習法などを徒然書いています

大リーグと米国経済

野球の季節も大詰め。海の向こうもAmerican Leagueは、今季絶好調で中部地区を走りきったDetroit TigarsがNY、Oaklandを連破して、World Seriesへの切符を手にしたことは、近年大リーグへの関心が高まった日本にも直ちに伝わっている。

十年以上も低迷していた、古豪Tigarsがここに来て復活したと言うのは、非常に意外な印象を受けた。と言うのは、燃費の悪い車に依存する体質から脱皮できていないGMおよびFordが、原油価格の上昇の影響をまともに受けて、今年になって極度の不振に喘いでいることが明らかになったのは周知のことだ。そのアメ車の本拠地がこのカナダ領を南に臨む町Detroitだからだ。米国ほど現金な国はない。日本でもここ数年はJ Leagueの影響からか、野球も地元重視に変わりつつあるが、ご当地色の強い大リーグでは、地元の産業に勢いのあるときに、ご当地Teamも強いと言う相関関係がしばしば見られる。例えば、Clinton時代は、株式資本主義とIT産業の時代だったが、金融資本の中心地NY Cityを拠点にするYankeesは、80年代から90年代初頭にかけて不振を続けていたものの、90年代後半に第何度目かの黄金時代を迎えた。また、CNNやCokeの本社があり、Olympicも開催したAtlantaには、Bravesという90年代の常勝Teamが君臨した。弱小Teamで知られるCleveland Indiansは、町が疲弊した鉄鋼産業から脱皮、都市再生が進むにつれて、歩をあわせるかのように着実にPlay Offに駒を進めるTeamとなった。

米国のような広大な国土を持つ国は、一部の情報で全体を把握することが不可能なことは自明だ。しかし、日本のような比較的こじんまりとした単一民族の島国に暮らしていると、なかなかその実態を想像する事が難しくなる。Clinton時代に、米国の中西部や南部に暮らす人々が、金融やITで財を成す東部や西海岸の一握りの成功者たちをどれほど苦々しく思っていたことか、想像だにできなかった。いや、Clinton時代の好景気の裏で、大統領のScandalが大きく取り上げられるなど、社会の保守化は着実に進んでいた感じは確かにあった。また、9.11の影響が何と言っても大きかったのだろうが、政権の交代でここまで様相が変わるとは、ちょっと驚きである。同じことは、お隣の中国についても言えることだろう。いや、独裁国家で、全ての情報が把握し難いという点は、米国の比ではないのかもしれない。都市部の日本人も在住するような地域から発せられる情報のみでは、とても全体を把握できないことだろう。

一体Detroitで何が起こったのか、今年だけの珍現象か、今のところさっぱり分からない。伝統的には自動車の町Detroitとは事情は異なるが、同じく中西部の町Chicagoに根拠地を置く古豪W.Soxが1917年以来のW.Seriesを勝利したのが去年のことである。さて、今年はどうなるか。