エウレカ徒然備忘録

時事報道への感想を中心に、ときにアニメDVDを使った英語学習法などを徒然書いています

社労士事務指定講習-第1日目-

7月24日(火)より、第26回労働社会保険諸法令関係事務指定講習の面接指導課程が始まりました。面接指導課程といっても、単なる講習会です。東日本と言うか北日本と言うか、とにかく東京会場は臨海地区の有明やら国際展示場駅やらが最寄り駅の不便な場所が選ばれました。しかし、この埋立地は開発が進行中で、巨大建造物が多数立ち並び、米国かカナダ辺りに居るような錯覚に襲われる。

1日目は、午前健康保険法、午後が厚生年金保険法の6時間、みっちり講義が行われた。勉強になった点を以下にまとめておく。

1.強制被保険者

労働保険では、役員などが被保険者にならないのに対して、社会保険では、常勤の法人の代表者、理事、取締役などの役員も法人から報酬を受け取っている人なので、健康保険、厚生年金の被保険者に該当する。

Partの考え方は、正社員の四分の三以上の労働をしているか否かが分岐点。つまり、週30時間以上かつ月当たり16日以上労働しているようなPartは、健康保険、厚生年金に加入しなければならない。

2.船員保険の被保険者は、健康保険の強制被保険者ではないが、厚生年金の強制被保険者。

3.日々雇い入れられる者、2箇月以内の期間の定めをして雇い入れられる者は、強制被保険者に該当しない。しかし、1箇月を超えて雇い入れられ続けた場合、あらかじめ定められた期間を超えて雇い入れ続けられた場合、1箇月を超えた日および期間満了日の翌日から強制被保険者となる。ただし、この制度を使った脱法行為は許されない。

4.被扶養者の認定対象者は、年間収入が130円未満(60歳以上の場合180万円未満)かつ被保険者の年間収入の二分の一未満が目安。この130万円基準は国民年金の第3号被保険者の被扶養配偶者認定の際の基準にもなる。

5.賃金の定義は、「労働の対償として受け取るもの全て」。任意的・恩恵的なもの、実費弁償的なもの、福利厚生施設であるもの、企業設備の一環であるものは賃金には含まれない。労働基準法では、労働協約就業規則、労働契約であらかじめ支給条件が明確に定められているものは全て賃金、退職金も。社会保険では、臨時支給、3箇月を超える期間ごと支給は、報酬には含まれない。賞与として保険料・年金額の計算基礎にはなる。退職金は、給与・賞与に上乗せする等で前払い選択している場合を除き、社会保険では賃金に算入しない。

6.標準報酬月額の定時決定(算定基礎届)

算定基礎届の基準となる給与は、4、5、6月に実際に支払われた給与を使い、算定基礎届で決定された標準報酬月額を9月1日から翌年の8月31日までの標準報酬月額として用いる。

標準報酬月額は、

健康保険                       厚生年金保

1等級  58,000円   保険料:2,378円    1等級     98,000円    保険料:7,175円

47等級 1,210,000円 保険料:49,610円   30等級    620,000円    保険料:45,390円

賞与については、別枠の標準賞与額に保険料率を乗じた額が保険料となる。健康保険は年間合計額540万円を上限とし、厚生年金は1箇月当たり150万円が上限となる。

要は、年度毎に完結する健康保険に対して、厚生年金は高い保険料を徴収すると報酬比例でより手厚い給付も行わなければならず、いづれ付けが回ってくる仕組みなので、保険料が高ければ高いほど良いと言うものではない。その辺りが両制度で標準報酬を全く共通にできない事情のようだ。

7.随時改定(月額変更届

実務では通称「月変」なんだそうだ。ここで、最近の定年延長の問題と絡めて整理しておく点がある。定年延長に対する会社の対応は、?定年自体の廃止、?勤務延長、?定年は従来のまま再雇用制度の導入があるが、実際に行われている手法は、?の再雇用が最も多い。そこで、7月定年でこの月まで50万円が標準報酬月額だった者が、定年再雇用で8月から標準報酬月額30万円程度の給与に下がった場合、月額変更届を出せるのは8、9、10月の3箇月間この2等級以上の給与の変動が続いた場合で、標準報酬月額を下げることができるのは11月からとなってしまう。そうなると、健康保険の保険料は50万円の標準報酬月額が適用され、厚生年金は在職者年金が適用され削られると言う事態になる。そこで、60歳を過ぎて同日に定年退職・再雇用となった場合の同日得喪の特例として、退職した時点で従来の標準報酬月額計算が一旦終了し、新たな雇用で資格取得時決定が行われると言う考え方を取ることができる。

8.育児休業取得に絡む保険料免除等

まず、女性が妊娠・出産する際、労働基準法65条は、産前の6週間、産後の8週間の休業を妊産婦に与えることを定めている。この際の有給か無給にするかは事業主の自由。そこで、健康保険法102条は、出産手当金の支給を定めている。「出産手当金支給申請書」を保険者に提出することにより、標準報酬日額の3分の2相当額が支給される。また、健康保険法101条から、「出産育児一時金支給申請書」を保険者に提出すると出産育児一時金として35万円が支給される。

これとは別に、子が一歳に達するまでの期間健康保険法159条および厚生年金法81条の2は、事業主が「育児休業取得者申出書」を保険者に申し出たとき、育児休業等開始月から終了日の翌日が属する月の前月まで、保険料が免除されることを定めている。具体例で示すと、出産日が7月24日とすると、7月中の7日+31日(8月)+18(9月)。9月18日までは、労働基準法の出産後の8週間であり、健康保険法の出産手当金支給対象となる。引き続き、子が一歳に達するまで育児休業を取得すると、法律的には子が一歳に達するのが翌年の7月23日となる。従って、7月22日が育児休業の終了日となる。健康保険料、厚生年金保険料が免除、しかし、支払ったと同じ扱いになるのは、9月から翌年の7月23日が属する月の前月、即ち6月までとなる。この間、雇用保険法61条の4は、雇用継続給付の一環として、休業開始時賃金日額の100分の30に相当する育児休業基本給付金の支給を定めている。また、雇用保険法61条の5は、職場復帰後引き続いて6箇月以上雇用されている時、6箇月経った日の翌日から2箇月経過日の属する月の末日までに「育児休業者職場復帰給付金支給申請書」を事業所を管轄する職安に提出すると100分の20に相当する育児休業者職場復帰給付金が支給される。

8.育児休業等終了時改定

育児休業等とは、育児・介護休業法の育児休業育児休業制度に準ずる措置による休業または地方公務員の育児休業に関する法律に規定する育児休業なので、三歳未満まで年齢が延びる。健康保険法43条の2、厚生年金法23条の2は、これらの子を養育する場合、育児休業等終了日の翌日が属する月以後の3箇月の報酬総額を月数で除して求めた額を元に標準報酬月額を改定し、育児休業終了日の翌日から起算して2月を経過した日の属する月の翌月から適用する。