エウレカ徒然備忘録

時事報道への感想を中心に、ときにアニメDVDを使った英語学習法などを徒然書いています

日経一面を見て

困ったものです。福田康夫と言う現首相に、我国の指導者と言う実感が全然持てないのです。念頭の所信表明も見る気も起きませんでした。何の期待も抱かせない指導者。これでは、株価も年頭から暴落と言うのも分かるような気がします。かと言って、もう一つの選択肢が小澤一郎では、救われません。結局、政治に期待してはならないと言うことですが、衰退期に入った国の指導者の選択肢が無いというのは厳しい状況です。

いくら我国が衰退期に入った先進国とはいえ、今朝の日本経済新聞朝刊「YEN漂流 縮む日本」の特集記事の内容はひどいものでした。1980年代、経済力に物を言わせ、海外の高級品を買いあさった日本であったのが、逆に露西亜や中東の成金が特殊な日本製高級自動車を買いあさるため、日本人の手が届かない高値に上昇したりするグローバル価格と低価格にはりつく国内価格の二極化現象を捉え、「気がつけば途上国」と言う見出しをつけているのだ。

高級自動車の他に、欧州製高級婦人服が「日本向けセカンドライン」を創設した対日新戦略、Hotel業界が始めた平均客室料が6万円を越す海外成金向け客室と価格設定の登場が紹介されている。ホテル・ニューオータニの例では、こう言った超高額客室の宿泊客の7割が露、中、仏などからの外国人客が占めているそうだ。

そして、記者は次のように結論付ける;

この構造変化は、グローバル化による国境を越えた価格裁定と無縁ではない。世界を飛び回る企業人や旅行者などグローバル層の利用する高級なホテルやサービスは、国際価格に収斂しやすくなる。一方、国内消費者が中心で国際競争に晒されない国内価格はその国の所得や為替相場など購買力に影響される。・・・・・国際競争力の低下と円安で相対的に貧しくなった日本。その象徴の二重価格を健全な形で解消するには、成長力を上げ、日本の購買力を増すことが必要になる。

何と、頓珍漢なことを言っているのか。第一に、日本製の自動車にとんでもない高値を付けてきたのは、一体誰なのか、こいつらは少なくとも先進国の人間か。否である。露西亜や中東のそれこそ所得格差が日本人の常識からすればこの世のものとは思えない程に歪んでいる産油途上国の石油成金ではないか。ここもとの資源価格急騰の副産物が生み出したそれこそ泡のような現象に過ぎない。こいつらのことだ、他の先進国の高級品、例えば英国の高級Flatとか、南仏の別荘、伊太利亜の高級服飾品でも何でも金に糸目をつけずに買いあさっているんだろう。そういう連中は何時でも先進国の「葱を背負った鴨」なのだ。80年代の日本人がそうだったように。

第二に、欧州製高級婦人服「日本向けセカンドライン」を創設した対日新戦略と言うが、セカンドラインとは言え、日本の女性向けを特に意識した戦力を打ち出すと言うことは、日本市場がまだまだ儲かると言うことの逆説的証明と見るべきではないのか。産油国の成金やBubble時代のような狂気的な購買をしなくなったから途上国と言う見方こそ狂気の沙汰と言っていい。

第三に、記者の言うような二重価格は、英国だろうが米国だろうが、どこの先進国にも見られる現象だ。例えば、Londonを訪れる金持ち観光客はTeaをFortnum and Masonで買い、BarbaryやAquasqutumで買い物をするが、庶民はせいぜいTescoかMarks and Spenserで安い紅茶や衣料を買う。米国に至っては、庶民はWalmartなどで本当に格安の品物を買うのが普通だが、世間の景気や物価を気にも留めずに高級百貨店で買い物を続ける内外の金持ち層がこれらの業界と景気後退時の消費を支えているのだ。だからと言って、英米が途上国だと言うような愚か者は一人もいるまい。

我国が国全体としては、相対的に経済力を低下させているのは、おそらく事実だろうが、今現在日本が途上国に転落しつつあるはずがない。だが、日本を代表する経済情報紙、「日経」の年頭の特集記事が、このように程度の低いものであると言う点については、日本人の教養、ものを考える力の低下を如実に物語っているようで、空恐ろしい気がする。