エウレカ徒然備忘録

時事報道への感想を中心に、ときにアニメDVDを使った英語学習法などを徒然書いています

Ride Back−その1−

お薦めの3大Robot Animeを問われたら、EurekaseveN、Fafner、Zegapainの3作を挙げてきたのだが、新年早々この一角を崩すかもしれない傑作の香りがするRobot Anime作品に回り逢えた。今年はついているのかな。新年放送開始の深夜Anime、Ride Back。製作会社はMad House。

尾形 琳。2020年代、GGPと言う集団が世界革命に成功し、国連解体などに揺れた世界が漸く落ち着きを取り戻した時代。天才バレエ・ダンサーを母に持ち、自身その母を目標に天才バレエ少女と謳われ、バレエ一筋に打ち込んできた琳だったが、公演中に事故で脚の靭帯断裂という大怪我を負う。故障を抱えた脚では、最早母親を目標に踊ることはかなわず、バレエを諦め、武蔵野総合大学に入学した琳。入学式が終わり、未だ満開の桜が怖いほどに美しい毎年めぐり来るその季節、琳は春雷を伴う通り雨を避けて立ち寄ったある部室で真紅の鉄馬に出遭う。それこそ、バレエを諦めて目標を失っていた彼女の胸の空洞を埋めることになるRide Back Fuego(Spain語で「炎」の意)だった。

Ride Back。乗用脚式2輪車両。要は、この時代に作られたBikeのような車輪を持った人型Robotと言ったところか。高速走行の時には正にBikeのようになって(Spread Legs Form)走る。Openingの画面では琳がスカートをなびかせてSLFのFuegoを駆る姿が印象的だ。どうも、革命を起こして世界をひっくり返した連中GGPは、このRide Backを最大限に利用したらしい。

偶然Fuegoに乗った琳は、初心者とは思えない操縦振りで胸を躍らせる。整備不良でFuegoが暴走する場面もあったが、最後はバレエジャンプ並みの見事な跳躍を決める琳とFuego。彼女の残り火のように燻っていた心に再び炎が灯る瞬間だった。

ここまでが第一話で、琳はRide Backに恋をするように惹かれていく。その気持ちが、琳の表情と満開の桜で実に良く描かれている。そのAnimeに惹かれるかどうかの最大の分かれ目は、主人公に感情移入ができるかどうかと言うことなのではないだろうか。この作品の良さは、琳の気持ちがその表情と台詞から直に心に響いてくるすばらしさで、Mad Houseの実力の一端を垣間見せてくれる。こう言う気持ちにさせられたのは、Eureka7を見たとき以来のことだ。そして、絵の構成では、細めの線と春を思わせる明るいパステルカラーの色使いが特徴的で、BONESの絵にも通じるところがある。どうも小生はパステルカラーと主人公の決死のジャンプとそれを引き金にする歓喜の表情に心を打たれるようだ。

それにしても、この手の真っ直ぐに前を見据えるタイプの主人公が「女」でしか描きづらくなっているのが最近の特徴なのだろうか。女が強くなったのは確かだが、深く掘り下げていくと女が強くなったと言う理由だけでは説明しきれない社会や意識の変化があるのかもしれないが、ここではこれ以上深入りしない。全体的な印象は、主題のしっかりした本格的な作品の感じがしたが、初回はFuegoを駆る琳のパンちらのサーヴィスもあって、十分以上に堪能できました。

第二話では、例の大ジャンプを目撃したRide Back部の部長片岡珠代が琳に目を付けることとなる。いきなりRide Backによる競走を申し入れる珠代に戸惑いながらも再びFuegoに乗ることを心待ちにする琳。Ride Back好きの弟堅司からの情報やNet情報でRide Backの予習をして臨んだ珠代とのRace。2回目の試乗とは思えぬ見事な操縦を披露し、途中まで珠代に付いていく琳だったが、本気を出した珠代に振り切られ、無理をしたコーナーで転倒し、池に突っ込む。この時、珠代は確信する、琳がその清楚な外見とは裏腹に「羊の仮面の下に全てを切り裂く牙を隠し持っていること」を。しかし、この段階では、さすがの珠代も初心者の琳では今日はここまでと思っていたのではないか。

しかし、琳は立ち上がり、それに応えるようにFuegoも池の中から立ち上がる。周回遅れで珠代を待ち受ける琳とFuego、珠代に再び挑みかかるために。この瞬間の琳の眼差しがぞくっとするほど格好良かった。第二話の最大の見せ場で、小生も含め並の男はこの場面で琳に惚れ込み、作品と恋に落ちる。

この作品は、主人公が元バレエダンサーの若い女性のため、戦闘場面なしで華麗なRobot Actionを見せることに成功している。今後、我等が琳は否応なく戦闘に巻き込まれていくのだろうが、物語の序盤のRobot Actionは、Ride Backの華麗なる走行と琳が試乗したためにバレエの踊りやジャンプをすることで見せていた。戦闘場面無しのRobot Actionでこれだけ見せ場を作れれば、お見事と言うほかない。

結局、Raceの方は、琳のややクレージーな突っ込みとバレエ技術を使った奇想天外なコーナーに動揺し、かつ、とび出してきた猫を避けようとして転倒した珠代が気を失い、決着は琳も急遽出場することになった選手権でと言うことになる。強気一辺倒の鉄の女珠代が猫をかばって転倒してしまうのは、意外な顛末だったが...。強引にRide Back部に引きずり込まれた形の琳だったが、しかし、心は躍っていた。