エウレカ徒然備忘録

時事報道への感想を中心に、ときにアニメDVDを使った英語学習法などを徒然書いています

ダリフラの感想_その1


 毎年12月は少々忙しくなるのが常ですが、そのストレス解消にアニメを見ています。昨年、令和3年の暮れは久々に感動して泣けるロボットアニメに当たりました。「ダーリン・イン・ザ・フランキス」(以下「ダリフラ」という。)、平成30年に放映された作品です。ここ数年ロボアニは、どちらかというと低調という印象が強すぎたせいか、この話題作がアンテナに引っかからなかったようで、見ていなかったのです。

 

 物語は、新世紀エヴァンゲリオンに代表されるいわゆる世界観ロボットアニメの系譜です。公式サイトによる物語の世界の序章は次の通り。

「遠い未来、人類は荒廃した大地に、移動要塞都市“プランテーション”を建設し文明を謳歌していた。その中に作られたパイロット居住施設“ミストルティン”、通称“トリカゴ”。コドモたちは、そこで暮らしている。外の世界を知らず。自由な空を知らず。教えられた使命は、ただ、戦うことだけだった。敵は、すべてが謎に包まれた巨大生命体“叫竜”。まだ見ぬ敵に立ち向かうため、コドモたちは“フランクス”と呼ばれるロボットを駆る。それに乗ることが、自らの存在を証明するのだと信じて。かつて神童と呼ばれた少年がいた。コードナンバーは016。名をヒロ。けれど今は落ちこぼれ。必要とされない存在。フランクスに乗れなければ、居ないのと同じだというのに。そんなヒロの前に、ある日、ゼロツーと呼ばれる謎の少女が現れる。彼女の額からは、艶めかしい二本のツノが生えていた。」

 物語の世界の新しいライフスタイルの前提として、人類はマグマ燃料という新たな資源を地中から採掘することに成功し、科学技術と産業の大躍進の時代に突入しています。そんな中、マグマ燃料を使用したビジネスを支配するAPEという謎の団体が勢力を持つに至り、人類を不老不死にする技術をも開発することに成功します。しかし、この技術開発に携わった無神論者でマッドサイエンティストのフランク博士が予期した通り、不老不死手術を施された人間は生殖能力を失ってゆきます。それでも富裕層の不老不死手術への需要は止むことなく、一方で手術のための資金が用意できない層への人口増に過大な税金が課せられるようになったため、人類の不老不死化が進んでゆきます。このようにして、不老不死を手に入れたものの生殖能力を失った人類を物語では、「オトナ」と呼びます。

 不老不死と豊かな科学文明を手にしたかに見えた人類でしたが、大きな問題が発生します。それは、まずマグマ燃料の採掘により、大地が急速に荒廃し始めたことでした。さらに、マグマ燃料の採掘地に謎の巨大生物が現れ、施設を破壊する現象が多発するようになります。人々は、この巨大生物を叫竜と呼び、恐れるようになります。これらが、人類が移動要塞都市に移り住まざるを得なくなった本当の要因でした。フランク博士をはじめとする科学者グループは、叫竜の死骸からその研究を進め、叫竜の生体の仕組みを応用したロボット兵器Franxxを開発することに成功します。ところが、このロボットを操縦するためには、生殖能力を維持した男女一対が搭乗するのが最も適していることが判明し、皮肉なことに人類は叫竜と戦うためのロボットを操縦するための新たな人間を必要とすることとなります。このために生まれてきたのが物語では「コドモ」と呼ばれる主人公を含む人間たちでした。

 

 ダリフラ第1話「独りとヒトリ」の主題は、主人公とヒロインの出会いです。コードネーム10番台の特待生だったヒロは、ある事件がきっかけで急速にFranxxを操る能力を失い、希望を失いつつあったある日、第13都市を訪れていたAPE親衛隊所属のゼロツーと呼ばれる少女に出会います。これは、水浴中であったため全裸のゼロツ―との出会いになりますが、古いロボアニファンには装甲騎兵ボトムズのキリコとプロトワンの出会いを想起させるかもしれません。

 ヒロインのいきなり全裸はサーヴィスの部類かもしれませんが、近づいてきた叫竜の気配を察知して愛機Streliziaのコックピットの前にスクッと立ちあがるゼロツ―の姿、ほんの一瞬で、彼女の明日からでもモデルで食っていける抜群のスタイルの良さが鮮明にかつ控えめにアピールされている隠れた名場面です。

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 ゼロツ―の人間離れした身体能力は、物語が進むにつれて随所に描かれていきますが、どうも臭覚や味覚についても普通の人間には感じ取れないことが分かるような描写があります。そもそも、搭乗していた飛行機の中から13都市に自分にとって何か特別な人間がいると予感している描写がありますし、主人公の頬を舐めたときの味覚が「ドキドキする味だ。ピリピリしていて、どこか引っかかる危険な味。」と表現しています。主人公に対する想いから散々対立した準ヒロインのイチゴに対しては「甘いね。嫌いじゃないよ。」と彼女が根は好人物であることを感覚としては察知している表現を発しています。

 

 ちなみに、第13都市を防衛するために新たに派遣された13部隊の主人公を含む10人は、ヒロ、イチゴ、ゴローの3人が優秀なコードネーム二桁台、他のメンバーにしても施設でFranxxとの同調性を高める薬物を投与されていても自我を失わなかった個性派を配した節があります。彼らのFranxxも通常部隊の同規格の量産型ではなく、各人バラバラのプロトタイプで、個性重視の実験的な部隊であることがわかる描写が後のエピソードで何度も描かれています。